ホテヘルは実は新世紀エヴァンゲリオンをモチーフにしているという話
こんばんは、25歳素人童貞です。
皆さん、ホテルヘルス、いわゆる「ホテヘル」ってご存知でしょうか。現代日本の性風俗の主流は、ホテルか自宅に女の子を派遣してくれる「デリバリーヘルス」ですが、「ホテヘル」という業態はそれとはちょっと違っていて、〝受付所〟というところで女の子の指名や料金の精算を行った上で、近くのラブホテルで女の子と落ち合うというものであります。
〝受付所〟などというものが街のどこにあるのかなんてホテヘルを使わない人は見当もつかないと思いますが、意外と誰もが通る街中にあったりします。
例えば、ワイ氏の住む池袋でいうと、池袋駅から徒歩1分、向こう側にパルコやヤマダ電機を眺めることのできる、都道305号線沿いの、赤い線で囲ったところがホテヘルの受付所だったりします。池袋東口を主戦場とする腐女子の皆さんは、見覚えのある通りなのではないでしょうか。
そういう観点から物事を見てみると、地図の中の吉野家の前にいる若いお兄ちゃん達は、誰が先頭でホテヘルの受付所に向かうのかジャンケンしているという風に理解することができます。これが教養というやつですね。
風営法でホテヘルの受付所は看板を出してはならないと決まっているので、こんな風に一体何に使われているのかよくわからないビルの中に、ホテヘルの受付所は混じっていたりします。風俗客のおじさん達は、風俗店のホームページで受付所のある位置を地図で確認しながら、このわかりにくい場所にあるホテヘルの受付所を必死で探すわけです。ホテヘルに行くと20%くらいの確率で、受付所のあるビルの前でスマホを見ながらウロチョロしているおじさんに出逢います。そういう時は大抵の場合、受付所の位置が凄く分かりづらかったり、ホームページの地図の説明が不足していたりして、結局ワイ氏も一緒にビルの周りをウロチョロするハメになったりします。もしビルの前に2人以上のおじさんがスマホを見ながらウロチョロしていたら、受付所探しで凄く集中していてゾーンに入ってる状態ですので、気軽に話かけたりしないであげてください。
そんな面倒くさい受付所なんか通さず、デリヘルみたいに自宅かホテルに直接女の子を派遣しちゃえばいいじゃん、ってフツーに思うのですが、どうしてホテヘルはこんな不合理なシステムを採用しているのでしょうか。それはあまりにクリティカルで、新世紀エヴァンゲリオンの主題にも絡んでくる問題なので、それは一旦置いておくとして、ホテヘルにはホテヘルなりの善い文化があったりします。
まず第一に、ホテヘルでは受付所で風俗店のスタッフの人と対面するところが、デリヘルとは大きく違います。
例えば、デリヘルの「池袋回春性感マッサージ」みたいに、「お客さんが対面するのは当店のマッサージレディーのみです!」みたいに、お客さんと従業員が対面しなくて良いことを強みにしているデリヘル店は割とあります。
あくまで男性は黒幕で、表に出るのは女性だけでいいみたいなロマンスをつくるためですね。
一方で、ホテヘルは受付所で男性スタッフと対面しなければなりません。そういうのが嫌いだったり怖い人もいると思うんですが、受付所で従業員の人に会ってみるのも割と楽しかったりします。電話をした時には「なんか偉そうな従業員だなぁ」と思っていた人が、受付所で対面してみると声がデカいだけのただのいい奴ってだけのパターンが結構あり、そういう人は計算高く振る舞うことが苦手なのでお店の女の子を正直な気持ちで紹介してくれたりして、普通に楽しい会話ができたりします。受付所の中の方でV系バンドマン崩れみたいな従業員がウロチョロしているのも、ホテヘルあるあるです。
デリヘルは従業員とは会わずに風俗嬢とだけ会えばいいからロマンスが生まれやすいと先に言ったけど、もちろんデリヘルにもデメリットがあって、デリヘルは風俗嬢とお金のやりとりをしなければならず、ロマンスと齟齬が出てしまいがちです。その点、ホテヘルでは受付所で従業員の人とお金のやりとりをすればいいので、風俗嬢と会ってからのロマンス度が高いのです。まぁ、クレジットカード払いが一般化すれば、そうした問題も終焉を迎えますけど、今のところ風俗嬢とお金のやりとりをしなくていいのは、ホテヘルのメリットです。
ホテヘルのもう1つのメリットは、受付所で女の子のボカシなしの写真を見ることができることです。ホームページ上の写真では口元だけボカシが入ってたり、目元が隠されていたりするけど、ホテヘルの受付所に行けばボカシ無しの写真を見ることができます。「写真見学無料」なんてことを謳っているホテヘルも多いですが、実際のところ歓迎されるのかは謎です。吾輩は写真見学だけ行くという勇気がないので、写真見学に行ったことがないのですが、そんな勇気のない人間のために、SODのKaku-butsuがホテヘルのパネルだけを見るイベントなんかを企画していたりします。
これもまたワイ氏は参加したことがないです。勇気がない人間のための企画に行く勇気がありません。服屋に行くための服がないみたいな状態になってしまっています。ちなみに言うと、ワイ氏は服屋に行くための服も実際に持ってないので、休日もスーツで風俗に行っています。よろしくお願いします!
個人的にホテヘルで一番面白かったのは、某素人系のホテヘルを初めて利用した時に、受付所で誓約書に名前を書かされたことです。素人系のお店なので、風俗嬢といえども働いている女の子はよく風俗のことを知らない子だったりします。だから、お店の方も女の子の扱いには気を付けていて、お客さんが悪さをしないように誓約書に名前を書いてもらうわけです。
『本番強要は行けません』
って誓約書に書かれているのは、どこのお店もそうなんですけど、そこのお店は
『「先っちょだけ」も駄目です』
って書かれておりました。あの有名な「先っちょだけ」というフレーズが誓約書に確かな文字として記されているのは感慨深いものがありましたし、いい年齢の受付所のおじさんが、いい年齢の客のおじさんに面と向かって
『「先っちょだけ」も駄目です』
って、受付所という狭い空間の中で声に出して読み上げるという状況に、人間が織りなす文化の虚無を感じた記憶があります。
丁寧なお店だと、受付が終わった後に、ホテルに入ってから客がなにをするべきかのルールの書かれたカードを渡されたりします。
もうここまで丁寧に動きを指定されると、はじめてのおつかいみたいな雰囲気が漂ってきますね。このお店は女の子が薬用石鹸を持ってきてくれるからいいんですが、中にはイソジンや薬用石鹸を紙コップと共に渡して客にホテルまで運ばせるお店もあり、小さい容器に注入されたイソジンと薬用石鹸を紙コップに入れてホテル街を闊歩する羽目になったりします。健康診断で検尿セットを持ってトイレに向かうおじさんか!って突っ込みたくなりますね。もし、紙コップ片手にホテル街を闊歩するおじさんがいたら、ホテヘルの最中ですので気軽に声をかけないであげてください。
受付所が設置されているというだけで、そんな悲喜こもごもな文化を醸成しているホテヘルですが、実は〝ホテヘル〟というのは非常に都市に特有の文化のようなのです。都内に住んで日常的にホテヘルを利用していると気づかないのですが、普通に考えてみれば、受付所に多くの人がやってきて、近くに複数のラブホテルがあって、その中からホテルを選んでもらうシステムというのは、駅の近くのラブホテルがひしめく繁華街でしか通用するはずがありません。高速のインター付近にラブホテルがある郊外では不可能なシステムです。
実際に、最も風俗店の掲載数が多い情報サイトであるシティヘブンで都道府県別のホテヘルの数を集計してみると、鉄道を主に交通手段としている都市にしかホテヘルが存在しないことが明らかです。鉄道旅客利用者数の都道府県別のランキングと比べると、上位の都道府県に同じ顔が並びます。
というわけで、ホテヘルは非常に都市的な文化なのです。これからホテヘルに行くときは自分のおちんちんのことをシティボーイって呼びましょうね。
さてさて、しかし都市だからと言ってホテヘルが流行るわけでもありません。ホテヘルが隆盛するに至るにはもう1つ重要な条件があって、それは店舗型風俗に対する規制の強化です。2000年代初頭に、まずは大阪で違法な店舗型風俗が摘発され、次に東京で石原東京都知事時代に、歌舞伎町浄化作戦という標語で有名な治安改善により、店舗型風俗は壊滅的な打撃を受け、受付所のみを設置してプレイはラブホテルにする〝ホテヘル〟が根付いたのです。
このようにして考えると、〝ホテヘル〟というのは、既存の秩序が崩壊した後の都市の世界に現れた業態であることがわかります。そして、そこでは男女を中心とした愛がテーマとなり、日々素股が行われています。
「秩序が崩壊した後の都市、そして愛」というのは、まさに新世紀エヴァンゲリオンが取り扱ったテーマですね。そのような観点から考えると、なぜホテヘルが〝女の子にお金を払わなくてよい〟ことを強く打ち出しているかということを、深く理解することができるようになります。先に挙げた「女の子にお金を渡す気まずさを無くすため」というのは表向きの理由で、おそらく真の理由は「人類補完計画」にあります。
弱い生き物である人間は、脆い自我を守るためにATフィールドを張らずにはいられないわけですが、新世紀エヴァンゲリオンの「人類補完計画」では、エヴァを触媒にしてアンチATフィールドを展開させることで、魂と肉体の解放により、人類を神と等しい高次元の生命体に進化させることを目的としています。
もうお気づきかと思いますが、ホテヘルにおける〝ATフィールド〟とは何かというと、〝お金〟なんですね。風俗客や風俗嬢は〝お金〟を介することによって、自分の自我を守っているわけです。しかし〝ホテヘル〟は「人類補完計画」を目的としているので、このお金のやりとりを無くしちゃうわけ。そのことによって、風俗客と風俗嬢の魂と肉体を解放させ、人類を神と等しい高次元の生命体に進化させることを目的としているんですね。
というわけで、〝ホテヘル〟が非常に都市特有の文化で、実は新世紀エヴァンゲリオンをモチーフにしていて、「人類補完計画」を企んでいることがわかったと思います。なぜホテヘルが非合理的なシステムを採用しているかという問いが問題だったわけですが、それは「人類補完計画」のためなのです。
エヴァンゲリオンの綾波レイのコスプレを用意しているお店は結構あり、たまにラブホテルにも綾波レイのコスプレがあります。「綾波」っていう源氏名のホテヘル嬢を呼んで綾波レイのコスプレをさせて、「あ、綾波ぃぃいぃぃいいいいいいいいいいいっ!」って高い声で叫びながら素股をするのが、最もホテヘルのモチーフに合ったオシャレな遊び方なので、是非お試しあれ。