プロフィール

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26歳素人童貞 a.k.a 素童

T179 B92(A) W73 H89

血液型B
出身地栃木
性格つらい
好きな食べ物カレー
好きな飲み物イソジン
マイブーム逆指名カードを貰いに行くこと
ファーストキスの味は?イソジン
初体験のシチュエーション小山セクシービーム
チャームポイントやくみつる似の顔
店長からのコメント
2018/11/10(土) 風俗エッセイ
『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』が発売されました。全然売れないです。
店長からのコメント
完全業界外未経験の正真正銘の素人童貞です。
『日暮里駅前クンニ塾』で100点中45点を叩き出した子です。
スケジュール
9/2(月) 9/23(火) 9/4(水) 9/5(木) 9/6(金) 9/7(土) 9/8(日)
 10:00 ~ 18:00   10:00 ~ 18:00   10:00 ~ 18:00   10:00 ~ 18:00   大久保で飲み会   母親が来る   CoCo壱 

石垣島で台湾出身のデリヘル嬢に左ケツを叩かれた

 

 石垣島の海は美しい。東京のデリヘルと、石垣島のデリヘルでまず目につく違いといえば、海である。石垣島のデリヘル嬢の写メ日記の中にはよく、海の写真が出てくる。

「今日から石垣島に来ました。一緒にエッチなことしましょう♡」

「お兄さん、今日はありがとう。旅行楽しんでね!」

そのような定型文が添えられながら、何度も何度も同じ石垣島の海の写真が、まるで人工知能が日記を生成でもしているかのようにホームページ上に日々投下され続ける。石垣島に到着してから空いた時間があれば、そんなデリヘル嬢の写メ日記を何度も何度もiPad上で眺め続けた。iPad上に映る写メ日記の中の石垣島の海は、美しかった。

 

 3月9日から3月17日までの9日間、石垣島に滞在した。ピエール瀧が逮捕される前の3日と逮捕されてからの6日の、計9日間である。8泊9日の間は毎晩かかさず、最低でも5時間は友人たちと飲酒をした。ピエール瀧逮捕の件を受けてミヤネ屋では、コカインよりもアルコールの方が依存性と身体の有害度が高いと報道されていた。

 

 飲んでいた友人の中の一人に、やたらと女性にモテる胡散臭くてピュアなアラフォーの男がおり、一人の男がいろいろな女の人にモテているところを間近で見てしまうと「羨ましいなぁ」という感情がふつふつと沸き起こってきてしまったため、私もせっかくの旅だから恋焦がれる気分になりたいと想い、滞在して3日目の夜にデリヘルを呼ぶことにした。

 

 石垣島のように土地の特徴が大きなところでデリヘルを呼ぶ際に我々が真っ先に考えることは、地元のデリヘル嬢を呼びたいということである。それは、せっかく石垣島に来たのだから、八重山そば石垣牛、ヤギ汁を食べたいという感情を抱くことと同じである。しかし、石垣島は出稼ぎに来ている人がほとんどで、例え地元出身のデリヘル嬢が存在していたとしてもわざわざ地元出身であることを公表して働くことなんてあり得るわけがないため、デリヘルのホームページでプロフィール巡りをしたところで地元出身のデリヘル嬢を見つけることはできなかった。それでもせっかくの観光ではいつもと違うタイプのデリヘル嬢を呼びたく、自分が普段生活をおくっている東京とは離れたところが良いと思い、プロフィールに「関西出身」と書かれている20歳の女の子を指名することにした。それに加えて、その女の子の得意プレイのところに「恋人プレイ♪」と書かれていたのも、指名をした大きな理由の一つである。なぜなら私は、石垣島という地で恋焦がれる気分になりたかったからだ。

 

 滞在3日目は、昼から曇りがちな日だった。私がデリヘルに向かう深夜にはポツポツと雨が降りはじめ、自転車を走らせながら雨が強くならないかを心配していた。海に囲まれているうえに気温の高い石垣島は水蒸気が発生しやすく、いわゆる〝スコール〟というような瞬間的な豪雨が起こりがちだ。雨が降ったら降ったですぐに強い日差しが顔を覗かせるし、なんとも移り気の激しい空だ。天気予報は翌日の分ですら当てにならないくらいに毎日が不安定で、石垣島に来てからは東京にいる時よりもずっと、空の偶然性に目を向けるようになった。

 

 小雨が降るなか石垣島にある数少ないラブホテルの内の1つに到着し、デリヘル店にホテルの部屋番号を電話で伝える。普段、東京でデリヘルを利用する際は、電話をしてから普通で10分、遅くても15分後にはデリヘル嬢が部屋に到着するものだが、この日は20分以上経過してもデリヘル嬢がやってくる気配がなかった。沖縄には集合時間に遅刻することなんて当たり前だと考える「ウチナータイム」という時間感覚があるらしいので「これが俗に言うところの〝ウチナータイム〟と言うやつか!」と、いかにも内地の人間が抱きそうな軽薄な考えと共にデリヘル嬢を心待ちにしていると、それからさらに5分ほどしてやっとドアのノックが鳴った。ドアを開けるとそこには、黒髪お団子ヘアで、細く釣り上がった目の、いかにもアジア系という顔立ちの膨よかな女性が控えめな笑顔で立っていた。30歳は超えているであろう佇まいだ。

 

「初めまして、こんばんは」

 

「オニイサン、コンバンハー。旅行中デスカー?」

 

 口から出てきたのは片言気味の日本語だった。気になって思わず「どこの出身なんですか?」と反射的に聞いてしまうと、台湾デース」と返ってきた。私が指名したはずの『関西出身の20歳の女の子』はどこにも存在しないということを即座に理解するに至り、私は裏切られた気持ちになった。しかしなにも私は、プロフィールとは別の女の子が来たことに関して「裏切られた」と思ったのではない。東京で風俗を利用している身からすれば、雑なお店では別人が来ることを想定するくらい、初歩の初歩である。私は、プロフィールとは別の人が来るとしても、まさか台湾人が来るとは予想できなかった自分の想像力に裏切られたと感じたのである。

 

 石垣島には、世界平和の鐘や、平和都市宣言の碑、あるいは憲法九条の碑などが設置されている『新栄公園』という大きな公園がある。滞在中の3月11日14時46分には東日本大震災犠牲者追悼鐘打』と銘打って世界平和の鐘が鳴らされるほど、モニュメンタルな色彩の強い公園で、そんな新栄公園には、石垣島の地理的アイデンティティを訴えてくるかような地図の碑も設置されていた。

 

 

 石垣島を中心とした地図を見るならば、東京や大阪よりも、フィリピン、香港、それから特に台湾が地理的に近距離であることは、一目瞭然なのである。それなのに、ラブホテルに来たデリヘル嬢が台湾人と知って心の中で驚いてしまったことには、私がいかに普段から東京、あるいは本州を中心とした日本地図しか見てこなかったか、そして、いかに私がそうした想像力の下でしか石垣島のデリヘルを捉えられていなかったかということがよく表れていた。

 

「オ兄サン、イツマデ イルノ?」

 

「今週いっぱいだね」

 

「ソウナンダ。1万3000円デス」 

 

 このお店は、60分13000円で、なぜか無料で+10分サービスをしてくれたので70分13000円だった。しかし石垣島のデリヘルの相場が安いというわけではなく、ここのお店だけやけに値段が安かっただけで、その他のデリヘルは都内に比べて値段に変わりはなかった。

 

「シャワー アビルヨ」

 

料金の受け渡しを終えると彼女は流れるように服を脱ぎ、私も追うようにして全裸になった。ボディピアスと入れ墨が刻まれている身体を顕わにした彼女が、目じりと口角が今にも繋がりそうな能面のような笑顔で手招きをしてきたので、後ろにひっつくように歩いて浴室へと向かった。

 

     

  彼女は、手のひらにボディソープをつけると、そのまま手のひら回すように優しく私の乳首を洗った。それから、手のひらを縦にして腋とお尻の割れ目にスッと忍ばせるように洗うという、どちらかと言えばヘルスよりもメンズエステでの洗体に近い技巧的な洗体術を身に付けていた。それから彼女は最後に腰を大きく下に屈め、至近距離で凝視しながら何度も何度も念入りに男性器を洗った。

 

「オ兄サン、先ニ 出テ 待ッテテネ」

 

私は先に浴室を出てバスタオルで身体を拭き、彼女が身体を洗い終わるのをベッドの上で仰向けになって待った。

 

         

1分もしない内に彼女は浴室から出てきて、バスタオルで身体を拭きながらベッドへと向かってくる。

 

「電気 消スネ」

 

そう言って電気を消すとすぐに、彼女がベッドの上に乗りこみ、私の両太ももを跨ぐように座って男性器を右手で軽くいじりながら、ニコッと口を開いた。

 

「オ兄サン 1万円デ モット イイ サービス 。ドウスル? 1万円払ワナイナラ 手コキ シカ デキナイ」

 

驚いたことに、突然、お店のシステムを完全に無視した俺ルールを押し付けられたのだ。『旅の精子はコキ捨て』とはよく言うので、手コキで終わらされるのも悪くなかったが、せっかくの石垣島で私は浮かれ気分になりたかった。

 

「1万円払ったら、キ、キッスもちゃんとしてくれるのか!?」

 

「1万円 払ウト イイ サービス。モチロン キス モ イッパイ」

 

「ははは、嬉しいなぁ~」

 

「ドウスル?1万円 払ウト イイ サービス」

 

「それじゃあ払うよ」

 

「前払イネ」

 

 ベッドから一度降り、カバンから1万円札を取り出して彼女に手渡した。もう一度ベッドに仰向けに寝ると、彼女が私の上に覆いかぶさり、おもむろに乳首を舐め始めた。舌先を立てる繊細で気持ちのよい乳首舐めだったが、束の間の5秒で終わり、それから彼女はすぐにフェラチオを始めたが、これまたほんの10秒足らずで終わってしまった。それからすかさず彼女は私の男性器にゴムとローションをつけ、「アァンッ!アァァァァンッ!」とけたたましい雄叫びをあげながら高速騎乗位素股で腰を振り出したかと思うと、10秒後には「ツカレター」と、私の横に仰向けにゴロンと寝始めた。「疲れちゃったかぁ」と言いながら私が正常位素股の体勢になり腰を振り始めると「アァァンンツ!キモチイ!イクッ!アァンッ!イクッ!イグッ!!!」と、先よりもさらに大きい喘ぎ声が部屋中に響き渡った。しかし私は、ほんの5秒でこれ以上にないほど大きな喘ぎに到達した彼女のテンションについていくことができなかった。それに、彼女のその大きな喘ぎ声が、ただただ相手を早くイカせるための演技ということを私はよく理解していたし、さらには、部屋に来るときはウチナータイムだったくせに射精のことになるとウチナータイムは全く認めようともしないのかという不合理さにも苛立ってしまい、大きな雄叫びをあげる彼女をよそに、私は静かに振っていた腰を一旦停止し、休憩がてらキスをしようと彼女に顔を近づけようとした。すると彼女は、両手で私の頬を優しく包むように撫で、そのままキスを歓迎してくれる、かと思いきや、突如、両腕にグっと力を入れて私の顔を後ろへと押し戻し、まるで私の頭がカメハメ破の波動にでもなっているかのような体勢で圧倒的なまでのキスの拒否をされるに至った。仕方なくキスを諦め私が再び腰を振り始めると、彼女はまた「アァンッ!イクッ!イクッ!」と声を上げはじめたが、次第に「アァンッ!イクッ!イケッ!」と、全くイク気配のない私への煽りの言葉を密かに織り交ぜ始めた。キスの拒否という彼女の契約違反に加えて、「イケッ!」という刺々しい煽りの言葉に、この女性はなんて倫理観のない人間なのだろうという思いを強くしたが、私はこんなシチュエーションが嫌いではなかった。彼女のように、客のことなんて全く気にも留めていない冷淡な女性であって初めて、私は素直に好意の言葉を投げかけることができるのだ。もしも私の発した好意の言葉を、好意と共に相手に受け止められてしまえば、そこには好意の言葉を発した者の責任というものがどうしたって問われてしまうが、もしも相手が好意の言葉を全く受け止めるはずもないほどに冷淡な人間であれば、私は無償の愛を叫ぶことができる。日本の片隅で愛を叫ぼうよ。今こそ大きな声で「好き!」と叫びながら腰を振ろうよ。そう決意して、「イケッ!ハヤク!イケッ!(ペチッ)」と露骨に煽りながらついには私の左ケツまで叩き始めた彼女に対し、私は腰を振りながら愛を叫んだ。

 

「ちゅき!」

 

得てして人間というものは、愛の場面では自分の思った通りの言葉を発せないものだが、私も「好き!」と言おうとして「ちゅき!」と声を発した自分に驚きを隠せなかった。精神科医で哲学者のジーグムント・フロイトの唱えた『防衛機制』の観点から解釈すれば、私が他人に対して「好き!」と伝える時に心の根底に潜んでいる不安を払拭するため退行して「ちゅき!」と幼児言葉を口にしてしまったと解釈することもできるが、私本人としては、事前にキッスをするはずだったのにキッスを拒否されてしまったことを心のどこかで引きずっていて、その気持ちが「ちゅき!」「ちゅ」の部分に名残として表れてしまった、という解釈の方が筋が良いのではないかと考えた。それになにより、こんなにも状況に適合した「ちゅき!」を発した人間は未だかつて存在していないのではないかと思い、感慨深い気持ちで腰を振りながら愛を奏でた。

 

「イケッ!ハヤク!イケッ!(ペチッ)」

 

「ちゅき!」

 

「ハヤク!モット!モット!(ペチッ)」

 

「ちゅき!」

 

「ハヤク!モット!ハヤク!(ペチッ)」

 

「ちゅき!」

 

「ハヤク!イケッ!ハヤク!(ペチッ)」

 

「ちゅき!」

 

「イケッ!ハヤク!イケッ!(ペチッ)」

 

「ちゅっ.... あぁぁんっ、イッ、イキそう!」

 

「あぁぁぁぁんっ!イッて!イッて!(ペチッ)」

 

「あぁぁぁぁんっ」

 

「あぁぁぁぁんっ(ペチッ)」

 

「あぁぁぁぁんっ」

 

「あぁぁぁぁんっ(ペチッ)」

 

「あああああああああ」

 

「あああああああああ(ペチッ)」

 

 

 

 

 

 

 ちゅき...!




 

 

 

彼女はティッシュを取り出すと、自らの手に付着していた精子を拭き始めた。

 

「オ兄サン イイ人ダッタ カラ イイ サービス。モット イイ人 ダト モット イイ サービス」

 

呪文のようにそう呟きながら、彼女は私の股間についていたローションをティッシュで雑に拭き上げた。時計を見ると、まだ70分コースのうちの25分ほどしか経過していなかった。

 

「シャワー 行クヨ」

 

時計から目を離すと、彼女がいつの間にか浴室の方へと歩み出していた。その大きな背中を追って浴室へと向かい、身体を洗ってもらった。プレイ前よりもかなり雑に身体を洗われた後、部屋に戻って洋服に着替えていると、シャワーを浴び終わった彼女が戻ってきて黒の下着をつけ始めた。手持無沙汰だったので、ここのお店が一体どういうシステムなのかを尋ねてみたところ、どうやら客が電話をした先は東京に繋がっていて、オペレーションは完全に東京にあり、ドライバーと女性だけが石垣島で動いているということだった。彼女の入店時の面接も、テレビ電話のみであったということを教えてくれた。そんなことを話しながら互いの着替えが終わると、彼女がベッドに腰かけスマホをいじりながら、神妙な面持ちで口を開いた。

 

「私ネ 先週 失恋シタノ」

 

「そうなんだ」

 

「付キ会ッタ 人 ガ 結婚 シテタノ。ヒドクナイ!?」

 

「不倫かぁ、それはひどいね。どのくらい付き合ったの?」

 

「3週間クライ」

 

「デートとかしてたんだ?」

 

「マダ 会ッタ コト モ ナイ」

 

「どういうこと?」

 

「アプリ デ 知リ会ッテ LINEデ 『好き』ッテ イワレタノ」

 

「そうなんだぁ」

 

「『好き』ッテ 言ワレタラ 付キ合ッテモ イイカナ ッテ 思ウジャン!?」

 

「そうだね~」

 

「ダカラ 付キ合ッタ ノ。ナノニ 奥サン ガ イタノ!」

 

「ひどいね」

 

「ヒドイ ヨネ!?」

 

「うん、ひどいよ」

 

「オカシイ ト 思ッタ コト ハ 何度モ アッタ」

 

「そうなんだ」

 

「電話ハ イツモ 車ノ中ダシ。 彼ガ 家ニ 帰ルト 絶対ニ 連絡ガ ツカナクナルノ 」

 

「それは怪しいね」

 

「家ニ 家族ガ イタカラ ダト思ウ」

 

「今から考えるとそうだね」

 

「ウン。 デモ LINEデ 『好き』ッテ 言ワレタ ノ」

 

「うん」

 

「向コウ カラ 言ッテ来タンダヨ!?」

 

「うん」

 

「ソレナノニ 奥サン イル ッテ ヒドクナイ!?」

 

「ひどいよ」

 

「私 ソンナコト 知ラナカッタ カラ」

 

「うん」

 

「ダカラ 『好き』 ッテ 言ワレタラ 付キ合ッテモ イイカナ ッテ 思ウジャン!?」

 

「そうだね」

 

「ソレナノニ 結婚シテルッテ ヒドクナイ!?」 

 

「ひどいね」(オワレッ!)

 

「『好き』ッテ 向コウ カラ 言ッテ来タ ノニ ヒドクナイ!?」

 

「ひどいね、それは向こうが悪いよ」(ハヤク!オワレッ!)

 

「モウ 悲シイ。オカシイ ト 思ッテ タンダ」

 

「うん」(オワレ!ハヤク!イケッ!)

 

「私 好キダッタ ノニ」

 

「好きだったんだね...」(イケッ!ハヤク!イケッ!)

 

「ハァ~ッ」

 

「頑張ろう」(ハヤク!イケッ!ハヤク!)

 

「ウン....」

 

「........。」(あぁぁぁぁんっ)

 

「........。」

 

「........。」(あぁぁぁぁんっ)

 

「ソロソロ イコッカ」

 

「そうだね」(あああああああああ)

 

 

 

 

 

 ちゅき...!

 

 

 

 

 

 時計を見ると、彼女が部屋に到着してから50分が経過したところだった。無言で2人で玄関へと歩き、彼女から順番に靴を履いていく。部屋のドアを開けてロビーまで歩き、ルームキーを受付のおばちゃんに手渡すと「はーい、時間内でーす」という低く枯れた声が狭いロビーに響き渡った。彼女は左側にある裏出口から駐車場へと向かう素振りをした。

 

「ジャア ココデ」

 

「うん、まぁいろいろ大変だと思うけど、元気出しなね」

 

泣いているのか笑っているのか、その中間ともいえる表情で彼女は右手を自分の顔の横の位置にまで上げ、こちらに目くばせをした。「ハヤク!イケッ!ハヤク!(ペチッ)」と、ほんの30分前まで私の左ケツを叩いていたその右手と最後にハイタッチを交わし、裏出口へ向かう彼女に背を向け、右側の正面玄関の方へ向かった。自動ドアが開いて外に出ると、ポツポツと降っていた雨は止んでいて、3月上旬の石垣島の夜は、やはり暖かかった。