「素人童貞は性欲に負けた」について
「素人童貞」というのは一般的に侮蔑用語である。
社会学者の渋谷知美さんの著書『日本の童貞』 によれば、「素人童貞」という言葉は、1983年(昭和58年)の雑誌『月刊プレイボーイ3月号』で「プロの女性としかイタしておらぬ仮性オトコ」と定義されて出てきたのが初出であるらしい。性風俗店で働いている風俗嬢以外の女性との性行為の経験がない男性に対して蔑んで用いる言葉で、1980年代末頃から定着してきた言葉だそうだ。
侮蔑用語として誕生した「素人童貞」であるが、その侮蔑の内容も様々だろう。コミュニケーションの能力がないとか、恋愛経験が少ないとか、セックスにお金を使うなんて!などなど。。。
その中の1つに、「素人童貞は性欲に負けた」というのがある。よく考えてみるとあまり意味のわからない言葉だが、要するに性欲が高まりすぎてどうしようもなくて手っ取り早い風俗という手段でいつも性行為をしていることを蔑んでいるのだろう。
しかし、素人童貞の私からすれば、そんなことはないと思う。今の時代、風俗に行くのはとても大変なことだ。お店やホームページにあるパネル写真はもちろん、風俗嬢が更新している写メ日記も修正がかかっていてどんな子が出てくるかわからないし、むしろそれでいいと思っているお店も多い。口コミサイトなどもいくつかあるが、お店側が母体となっている口コミサイトの力が圧倒的に強く、信頼できるユーザーの口コミなどはまだまだ少ない。それにユーザーの偽りのない口コミであったとしても、風俗は人と人とのコミュニケーションなので、人が変わればサービスが激変することだってある。要は、情報は溢れているが、信頼できる情報というのがあまりにも少ないのだ。
それに加えて、お店も女の子も驚くほど大量にいる。お店によってプレイ内容や料金やホテル代のありなしなどが違うし、女の子によっても指名料金が違ったり、できるプレイできないプレイの違いなどもある。これらの膨大な情報から自分が満足できるようなお店や女の子を選ぶなんて、性欲という本能で動いている人にはできないことなのだ。
それに、性行為をする前に予約をしなければならないのだ!性欲という本能に突き動かされて性行為をする前に予約をする動物なんて人間以外にいるだろうか!素人童貞が行っているのは、性欲に負けた本能的行為ではなく、性欲に基づいた人間の高度な知的行為なのである。
もうこれだけで「素人童貞は性欲に負けた」というのがいかに甘っちょろい考え方なのかがわかったと思う。しかし、もちろん素人童貞にも「性欲に負けた」と思うことがある。
先に述べたように、風俗で情報を選別して予約をして遊ぶというのは非常に労力のかかることなのである。それにも関わらず、行きたいお店や指名したい女の子を調べている最中、または、明日の予約をした後に、妄想が膨らんで急にムラムラしてきてオナニーを初めてしまうことがある。
「あっ、さっきまであんな苦労して情報集めたのに。。。」
「だめ、今オナニーしたらだめだってば、明日もう予約いれたんだから。。。」
なんて罪悪感もセットで、興奮してオナニーが止まらなくなってしまう。今までの自分の苦労や、明日の予定まで吹っ飛ばして、オナニーを続け、射精にまで至ってしまうこともある。「素人童貞は性欲に負けた」というのは、そういう時のことを言うのである。