意図せずして雑に扱われ勃起

 確か昨年の9月。まだ職もなく、ほとんど就労意欲もなかった頃。

 代々木のNHKホールにて、某女性ミュージシャンのライブの鑑賞を終え、その足で池袋の某風俗店に。そこは学園系のお店で女の子は制服姿。人気があった女の子が偶然にも出勤していたので、ライブの熱も冷めやらない内にその子を勢いのまま指名。安田美沙子似で有名だったので美沙子ちゃん(仮名)と呼ぼう。人気の女の子だけあって美沙子ちゃんは2時間待ちであったが、どうせ後はネットカフェで泊まるくらいしか予定がなかったので、待つことに。

 職もなく身分の卑しい人間だったので、2時間を過ごす場所に困った。できればお金がかからなくてwi-fiが飛んでいるところに行きたい。静かなら尚更良い。そう考えながら池袋の街を散策していると、都会の中のオアシスのような場所が突然現れた。どうやら『南池袋公園』と言うらしい。




 2016年の4月に開放されたばかりのピカピカの公園。カフェが併設され、市民の憩いの場になっている。『市民の憩いの場』なんていうのは行政が好みそうな儀礼的な文句に思われるかもしれないが、この公園、綺麗な芝生に自由に寝そべることができて居心地が最高に良いので、マジで市民がうじゃうじゃ居た。

 そしてそして、私がこの公園に到着したのは夜の7時頃。カフェの併設された綺麗な公園の夜となれば、どんな光景になるか想像がつくだろう。童貞脳を拗らせている方なら、1秒もしない内に思い浮かべたくなくとも思い浮かんだはずだ。



 もうね、カップルばっかりよ。寝そべってイチャイチャしてるカップルが夜の南池袋公園にはいっぱいいるんですわ。キスはしてるわ、ケツを触ってるわ、本当に猿ですわ。女の子とイチャイチャするためにまずはボーイさんにお金を払うところから始めるという、知能が高度に発達した人間にしか不可能な行動を取る素人童貞とは違って、イチャイチャが止められないんだ。この猿たちは。

 なーんて、童貞脳っぽい煽り方をしてみたが、私は素人童貞脳の持ち主だから、そんなことは思っていない。拗らせた童貞脳はカップルを見たら嫉妬や憎悪を抱くしかないかもしれないが、これから風俗に行く私にとっては、カップルのイチャイチャは充電の場なのだ。カップルのいちゃいちゃを見て童貞が心に嫉妬を抱くのだとしたら、素人童貞の私は睾丸に性欲を抱くのだ!

 そんなこんなで2時間、横目でイチャイチャするカップルを眺めながら、これから風俗店で発射する性欲を睾丸に充電し、いざ風俗店へ。

 現れたのは安田美沙子よりも色白でさっぱりとした感じの美人さん。20歳くらいだろうか。さすが人気のある女の子だけあって、コミュニケーションしやすいし、人当たりもいい子だった。もちろんサービスも良い。でも、学園系で素人っぽい女の子というコンセプトのお店だったので、サービスが良いと言っても、顔面舐めをしてくれるレベルかは未知数だ。

 美沙子ちゃんはキスをすると何故かレモンの味がした。マウスウォッシュのレモン風味とかそんなヤワな話じゃなくて、キスしたらこっちが思わず『すっぺぇ~』って顔を歪ませてしまうくらに本格的なレモンの味がした。あれは何だったのだろう。。。まぁでもしばらくすれば慣れたし、なにより色白で綺麗な女の子だったので、顔面舐めをされたいと思った。いや、『顔面舐めをされなければならない』という使命感のようなものが降り注いできたと言っても過言ではない。嘘。過言です。

 さぁ、顔面舐めをされたいと思ってからが勝負どころだ。

『キス好きなんですー、キスいっぱいしてくださーい!』

 と、サザエさんのタラちゃんのように頼み、様子を伺う。さすがサービスのいい女の子だけあって嫌な顔一つせず笑顔で受け入れてくれた。キスも濃厚だ。そこですかさず次の一手。

『ねぇ、鼻舐めれるー?』

 『えー、鼻ー?君、変態だなぁ。。。』

 と言いながら、軽く鼻の先を1ペロ、2ペロしてくれた。レモンの香りがした。鼻を舐められたことよりも、美沙子ちゃんの

 『君、変態だなぁ。。。』

という言葉のチョイスと言い方が良かった。年下の女の子に『君、』と言われるのもグッとくるものがあったし、声も安田美沙子に似た濁りのない高く澄んだ声で、そんな声で『変態だなぁ。。。』と、呆れつつも若干ポップな感じで言ってくれたのが最高に良かった。

 しかし、頼んだ後の反応にしても、舐め具合にしても、顔面舐めまでは頼まない方がいいだろうと思い、諦めた。こっからは普通の範囲のプレイをしようと決めた。

 気を取り直し、キスを再開した時に、それは起こった。キスをする時に鼻と鼻の先が触れた瞬間、


『ちょっ、まっ!』

と、美沙子ちゃんが急に野太い声をあげ、その勢いのまま右手で私の顔を押しつぶした。その後すかさず

『ちょっと~、濡れてる~っ!』

 と、まるで野太い声など存在しなかったかのように、元の高く澄んだ声でそう指摘してきた。どうやらキスをして鼻と鼻が当たった際に、私が鼻を舐めてもらった時に付着した唾液が、そのまま美沙子ちゃんの鼻についてしまったようだ。自分の唾液が自分につくことがそんなに嫌なのかぁ、自分の唾液が汚いと思う人もいるからなぁ、などと一瞬のうちに色々考えたが、それよりなにより、


『ちょっ、まっ!』

という、突如現れた野太い声と、片手で顔を押しつぶされたことに対し、私のちんこは激しく勃起していた。