人妻デリヘルレポート、あるいは、俺は凄いということ
「へぇ、弟いるんだ。弟とは仲良いの?」
「前までは仲良かったんだけど、弟が高校生になってからなんか仲悪くなっちゃって...」
「思春期だから色気づいてきちゃったのかな」
「う~ん、そうかなぁ。はぁ...、あの可愛い弟はどこに。。。」
弟を持つ20代のデリヘル嬢とそんな会話をした後に
「あぁ、可愛いね、可愛いね」
と言われながら乳首をひたすら舐められるという、昨年末の甘酸っぱいデリヘルが忘れられていません。26歳素人童貞です。
先月、池袋の某人妻系デリヘルを利用した。同じグループのお店であっても、池袋の女性は少し清楚で童顔のような顔の人が多いように思えるのは気のせいでしょうか。
30歳前半くらいの、黒髪ロングの綺麗なデリヘル嬢が部屋に入ってくるや否や「なんかお兄さんメガネちょっと変わってるし、服も何だか独特だから、もしかしてサブカルですかぁ?私サブカルってよくわかんないですけど、もしかしてお兄さんってサブカルかなぁ~って」と、身体をモゾモゾさせながら言ってきた。人間に向かって「サブカルかなぁ~」とは、なんだその言い回しは。私は世間一般でサブカルチャーと名指されているものにあまり触れずに生きてきたので「全然サブカルじゃないよ」と、返しておいた。でも、〝1億総オタク化〟とか〝サブカルチャーがメインカルチャーになった〟とか、そんなことが言われている現代日本において、着実に利用客が減ってニッチな産業であり続けている性風俗の方が、よっぽど文字通りの意味でサブカルチャーなんじゃないかと思えてくる。
「それじゃあ、シャワー行きましょうね」
そう言いながらデリヘル嬢は私の服を脱がせ始めた。前側を止めるボタンも無くなり、尻には穴があいているボロボロのスーツのズボンを脱がせるや否や
「えぇぇっ!? デカくない!?」
と、デリヘル嬢が目を丸くした。
「いやいや、それは違うよ。これはね、ちんちんがデカいんじゃなくて、ちんちんと金玉の入るスペースが確保されているパンツだから、デカく見えるだけなんだ」
「え!? そうなの!? っていうか普通のパンツって、金玉の入る場所ってなかったっけ!?」
「普通の男性用のパンツはね、そんな風にはできていないよ。そういうパンツはね、夏とかになると蒸れて金玉の裏が痒くなってきちゃう人とかもいるんだ」
またこの日も私は、パンツの力で男性器を、知識の力で自分をデカく見せていた。まぁ、そもそもラシュバンのパンツ自体もデリヘル嬢から紹介してもらって知ったものであるのだが。
裸になったところで、デリヘル嬢が私の男性器を手で掴み、犬のリードでも引っ張っていくようにして浴室へと連れていってくれた。これは私の経験上での話でしかないのだが、男性器を引っ張って浴室へ連れていってくれるデリヘル嬢は皆30代以上だ。20代では見たことがない。私がまだ20代前半で、初めてアラフォーのデリヘル嬢に男性器を引っ張られて浴室へ連れていかれた時、
「え~、なんでちんこ引っ張っていくんすかぁ(笑)」
と、素朴な疑問をそのまま声に出したところ
「不安なのっ!」
と、急に真顔で言われてしまい、その時のデリヘル嬢の表情を見て私もとてつもない不安に襲われたことは言うまでもない。その時の不安を数年経った今でも引きずっているため、私は決してなぜ男性器を引っ張っていくのかの理由を問うことはせず、引っ張られるがままに浴室へと向かった。
シャワーを浴び、少し寒い思いをしながらベッドに移り、仰向けに身体を寝かす。デリヘル嬢は熱心にこちらの身体を舐めて、アナルも舐めて、それからフェラチオをした。
「ねぇ、お兄さんはさ、フェラした後にキスしてもいい人?」
仰向けに寝ている私の頭上に、彼女の顔が現れた。
「全然いいよ」
そのままデリヘル嬢とキスをした。フェラをした後にキスをしてもいいかは確認するけど、アナル舐めの後にキスをしていいかは確認しないんだ、そう思いながらデリヘル嬢とキスをした。誤解しないで頂きたいのは、私は「アナル舐めの後にキスをしてほしくなかった」と訴えたいわけでは決してない。私は自分がアナルを舐められたいのであれば、もし頼まれた時のために相手のアナルを舐める準備は常にしておくべきだと思っているし、もちろんアナルを舐められた後のキスも拒否すべきではないとも考えている。政治的な立ち位置で言えば〝急進的アナル舐めラリスト〟と一般的には分類される立ち位置だ。そうであるから私は本当に純粋に、フェラの後にキスをしていいかは確認するけど、アナル舐めの後にキスをしていいかは確認しないという、そのデリヘル嬢の言葉の裏に隠れているフェラ観やアナル観が興味深いと思ったのだ。彼女はもしかしたら人生経験の少なさからアナル舐めの後のキスは嫌がる人はいないと決め込んでいるのかもしれないし、アナル舐めの後にフェラをしたらなんとなくアナル舐めをしたことはリセットされるもんだと考えているのかもしれない。いや、実のところそんな考えは一切なく、ただただ アナル舐め→フェラチオ→キス という順番でプレイを運んでいったので「フェラした後にキスしてもいい人?」と聞いてきただけなのかもしれない。もしもアナル舐めに関する許可まで取ろうとしたら、「アナル舐めの後にフェラした後にキスしてもいい人?」と、9文字分多く発声する必要があってクールではないし、もしそれで断られでもしたら「じゃあもしフェラした後にアナル舐めしてキスしてたら良かったの?」と、仮定法過去完了形まで持ち出さなければならなくなってしまう恐れもあっただろう。2人の密な空間をつくることのが生業のデリヘル嬢が、キスをする際に仮定法過去完了形を持ちだすことで〝現在〟という最もムード作りに必要な時間の形式を相対化してしまうのは避けたいに決まっている。ムードを壊さない程度の文字数で同意を得るために採用された簡潔なフレーズが「フェラした後にキスしてもいい人?」だったというのが、この問題の穏当な着地点だろうか。
フェラの後のキスは、紛れもなくフェラの後のキスの味がした。フェラの前のキスにはない味だ。こんなことを言うと、心のどこかで男性器のことを憎んでいる人たちが何のエビデンスもなしに「お前のちんこが臭いからちんこの味がしたんだろ!」なんて言い出しかねないのは容易に想像されることであるが、フェラの後のキスの味というのは決してそういうことを指しているのではない。フェラの最中に女性の唇の上や口の周りに付着した女性自身の唾液が、時間が経過してカピカピになることにより発される独特な香り。それに加えて、フェラの直後のキスというのは、女性の口の形が男性器を口に入れている時の形を覚えがちなのである。そのようなフェラの前には存在していない乾いた唾液の香りと口の形状こそが、フェラの後のキスがフェラの前のキスとは一線を画している所以なのである。
フェラの後のキスの流れでデリヘル嬢が私の身体の上に乗っかり、ローションを手に拡げ、そのまま男性器を包むように掴んで腰を振り始めた。騎乗位素股である。やや大袈裟に腰を後ろに引くのに合わせて男性器を包んでいる手も同時に引き、再び腰をグッと前方に押しだすのに合わせて手先を前方へとストロークする。長年の経験で培われてきたであろう、挿入感の強い騎乗位素股だ。そのやや大袈裟な腰の動きは、もし本当に男性器が挿入されていたのであったならば簡単に膣から抜け落ちてしまうほどの振り幅であったが、戯画的な悲喜劇がかえって人間なるものの真実を焙りだすように、そのデリヘル嬢の素股の戯画的な腰の振り方は、かえって挿入における挿入らしさを実際の挿入以上にありありと現前させていた。
「きもひっ、きもひぃよぉぉお」
「ねぇ、どうしたいの?」
「イ、イキたいでひゅ~っ!」
少ない言葉のやりとりだけで私の気持ちを汲み取るのは容易だったようで、デリヘル嬢は身体を覆いかぶせるようにしながら私の顔の横に自身の顔を運び、耳元で「あぁんっ、あっ、あっ、あぁんっ」と喘ぎ声をあげながら腰を振り続けた。あまりのテクの高さに私はすぐにイキそうになった、いや、もっと正確に言えば〝イキそう〟という感覚が込み上げてきそうになった。この”イキそうという感覚が来そう”という、射精よりも2段階前の季節に、デリヘル嬢が男性器の方に目を落としながら
「あぁんっ、すごいっ! えっ!? すごいっ!」
と、それまでよりも遥かに明瞭に言葉を発した。
「すごいっ! すごい固くなってきてるぅぅぅうう~!」
イキそうになった瞬間に男性器に血流が昇ってきていることを皮膚で感知できるデリヘル嬢は数多いるが、このデリヘル嬢は射精の2段階前の”イキそうという感覚が来そう”という時期にそれを感知していたのだ。それに合わせて、まるでデリヘル嬢自身の身体の中にも血流が湧きあがって来ているかのように腰の振りを激しくさせて、私の耳元で声を荒げる。
「すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ! 」
あまりに早熟すぎる天才は、天才と認識された後の長い長い時間と向き合うのに苦労するのが世の常であるが、男性器の血流の上昇を感知するのがあまりに早すぎたこの天才デリヘル嬢は、その後の射精に至るまでの長い長い道のりを物ともせず、騎乗位素股の腰のスクロールに合わせて「すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ! 」と、私の鼓膜に単語をぶつけてくるかのようにひたすら声を張り続けた。
フランス文学者の蓮實重彦は『凡庸さについてお話させていただきます』という著書の中で、凡庸でないということとはどのようなことかについて語っている。
一般的に天才と言われている人間たちは「〇〇は△△よりも天才だ」「〇〇は◇◇において他の人間よりも優れている」というように、他人との相対的な差異や距離によって測られる。しかし蓮實によれば、そもそもそういった相対的な差異によって測るという価値基準、既知のものからの距離によって未知のものを理解するという姿勢、凡人と天才とを比較しながら区別する構図そのものが凡庸なのである。
じつは、誰でも、ある人間が決定的に秀れているという瞬間に立ち会うことがあるわけです。この〝決定的〟というのは絶対的という意味であって、先ほどいったような相対的なものではありません。相対的な差異の計測とは違った場所で、「これは凄い」といった感じをもつことがあるわけです。〝絶対的〟というのは、比較を欠いた荒々しさの前でわれわれがたじろぐことです。そうした場合、相対的な差異の識別を許す世界は消滅しています。 (『凡庸さについてお話させていただきます』 p17)
私は、他のデリヘル嬢よりも男性器への血流の上昇を感知するのがあまりに早いこのデリヘル嬢を天才的だと思っていたが、そのように他のデリヘル嬢との相対的な差異によって測ってしまう私はいかにも凡庸だったのだ。デリヘル嬢は、そういった私の凡庸さとは一線を画し、海綿体への血流の上昇という他とは比べられない絶対的な出来事、その事件性、私が自分では気づかなかった男性器の〝絶対的〟を感知し、「すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ!すごいっ! 」とひたすら声を張り続けたのだ。デリヘル嬢から発された1つ1つの「すごいっ!」というワードが、耳から頭に侵入しピンポン玉のように脳内を跳ね返り続け、私は文字通り頭がおかしくなりながら「俺はすごいっ!」と思いながら射精した。
きもちよかった。
週刊誌のライターから連絡が来ない
あれは、去年の初夏のこと。
Twitterで知り会った友人から「〇〇って週刊誌のライターさんが取材したいって」と、連絡が届いた。昨年の1月に放送されたタモリ倶楽部、デリヘル嬢の紹介文の分析に関して取材したいという内容だった。1月に放送されたものについて、初夏に週刊誌で取り上げるのは今さら感があるのではないかと思ったものの、しっかりとした週刊誌なら取材を受ければ風俗に1回行けるくらいの謝礼をくれるということもなんとなく知ってきたので、2つ返事で引き受けることにした。
ライターの方が、池袋に伺ってもよいし、神保町にある出版社のビルに来て頂いても良いということだった。基本的に風俗しか行かない人間なので、こういった機会がなければ出版社に足を運ぶ機会もないし、神保町でカレーも食べたいし、出版社のビルに足を運ぶことにした。分析につかったKHCoderという自然言語分析のフリーソフトウェアの使い方も実際に見せてほしいということで、ノートPCを担いで神保町に向かった。
出版社のビルの目の前に到着して電話をすると、30代後半くらいの、肌が浅黒くて目がクリッとしたライターのお兄さんが現れた。茶色いTシャツに、ジーパンの軽装だ。パリピのようなタイプの人の取材にも、私みたいな鬱屈とした人間の取材にも、幅広く対応できそうな柔らかさを持っている人だという第一印象を持った。
「どうぞどうぞ、会議室に案内しますので」
そう言われてビルの裏側の入口からそそくさと入館して、会議室のある部屋に向かって歩く。
「何かお飲み物でも飲みますか?」
会議室に向かう途中にあった自販機の前で、ライターのお兄さんが聞いてくれた。
「冷たいココアがいいですね」
「はい~っ」
お兄さんが財布から出した小銭を自販機に投入していく。出会ってから始めて2人が立ち止まり、ゆっくりな時間が流れた。小銭が自販機の中へ落ちて行く音が響く中、何か気の利いたことでも言おうと思い立って、お兄さんの服装に視線をやって、話しかけてみた。
「週刊誌のライターの方って、普段から凄くカジュアルな格好で働いているんですね」
「そうですね!まぁ、政治家とか経営者の方とか、そういう地位の高い方を取材する時はしっかりスーツ着ていきますけどね!」
浅黒い肌と奇麗にコントラストを描く白い歯を出しながら爽やかに言葉を返すお兄さんから、社会的地位の低い私は冷たいココアを受け取って、また2人で会議室へと歩き出す。
30人は軽く入りそうな広めの会議室の中に、長方形になるように長机が並べられており、その一隅にL字型になるような形で私とお兄さんは座った。デープレコーダが机の上に置かれ、お兄さんは黒のボールペンと、それから真っ白なA3ほどの大きさの紙を2つ折りにして机に置き、取材が始まった。
「うちの読者の方々はですね、結構、その人のバックグラウンドというか、人柄を知ってから記事を読みたいタイプの方が多いんですね。ですから、まず、素人童貞さんの職業とかから伺っていってよいでしょうか?」
個人的には、ご飯食べたり、お酒を飲んだりしながら、冗談を交えて風俗の話をして、そこから自由に切り取ってもらえるような取材が楽しくてお金も貰えてお腹もいっぱいになってハッピーという感じなのだけど、社会的地位が低い私は冷たいココアを飲みながら真面目に応えていく。
「はい、IT企業勤めなんですね。IT企業っていうと、、、SEとかですか?はいはい、なるほどなるほど。勤めて何年くらい?おー、じゃあ割と最近なんですね。へー、収入の方は、、、まぁまぁ、同年代の平均くらいってことでいいですかね。それで池袋で一人暮らし?家賃いくらくらいなんですか?その中で風俗行くの大変でしょう。えーっ、奨学金も返してるんですか。じゃあもう使えるお金は全部風俗に突っ込むって感じで。はっはっは、そうですか」
ライターのお兄さんは、私が応えていくことを、A3の紙に丁寧に一つずつメモしていく。
「あのデリヘル嬢の紹介文の分析というのは、どうしてやろうと思ったんでしょうか?はっはっは、お金が無くなって無料でできることを探してたからなんですね。でもそれより前から風俗で指名する時に、紹介文は参考になるなぁ~、みたいな気持ちもあったんですよね?はい。それで分析してみようと。なるほどなるほど。IT企業勤めってことですけど、これ仕事で使ってるツールだったりしたんですかね?あー、違うんですね。大学の時に勉強してたとかですか?あー、じゃあ実際に分析しようと思ってから勉強し始めたんですね。なるほど~。これオンエアされてから反響とかありました?」
ライターのお兄さんは、相変わらず丁寧にメモを取っていく。時よりメモを見直しながら、前の話と繋がりの不明瞭な部分を掘り下げるように質問をし、A3の紙の上の文言を線で繋げてマインドマップのような一つの図を作っていく。私の人柄に関する質問と、デリヘル嬢の紹介文の分析の話で30分ほどが経過した。
「えーと、それじゃあ今度は素人童貞さんの女性の好みも聞いてみたいんですけど、どんな子が好みですかね?あー、たぬき顔の子なんですね。いいですねー、僕も好きですね。うん、西洋系よりも日本人顔の方がいいですよねぇ。わかります、わかります。おっぱいとかはどうですか?へー、あーお尻派なんですね。いいですねー、僕もどっちかって言うとお尻派ですね。ちょっと筋肉があるくらいがいいですよねー、なるほどなるほど。プレイ内容とかだと、どんなのが好きですか?キスいいですよねぇー、キス大事です。僕も好きですね。あー、添い寝もいいですね、僕も添い寝好きです、わかります。あーM性感も行かれるので、お尻責められるのも好きなんですね。いやー僕はお尻はないかなー。お尻はないですねー。」
A3の用紙には、「たぬき顔、お尻派、キス好き、添い寝」とメモされ、お尻のことに関しては何も書かれなかった。
「あとはどんなプレイが好きですか?顔に唾を吐かれるのですかー、いやー無理っすね。僕それ、無理ッス」
「たぬき顔、お尻派、キス好き、添い寝」の次に「顔に唾を吐かれる」が追記されることも、もちろんなかった。こうして、私の経歴と、デリヘル嬢の紹介文の分析の話と、ライターのお兄さんの性癖が書かれたメモが出来上がった。始まってから、40~50分の時間が経過していた。
「そういえば、僕、吉祥寺のピンサロによく行くんですけど、ちょっと紹介文を実際に分析してみてもらっていいですかね?」
持参してきたノートパソコンを取り出し、ライターのお兄さんがよく行くというピンサロのホームページを開いた。
「この子どうですか?あー、うんうん、その言い回しがいいんですね。確かに、ブログにもそうやって書かれてましたもんね。実は、この子、僕がこの前指名した子なんですけど、確かにいい子でしたね~!性格が前向きで、暗いところがなくて、うんうん。
んじゃ次にこの子はどう?あー、この書き方はよくないんだよね。へー、いやぁ、今度この子指名しようと思ってたからさ、そー言われてみると確かにあんまり良く書かれてる紹介文ってわけじゃないっすねぇ。んじゃ次は池袋ピンサロのホームページみましょうか」
突然、ピンサロ嬢の紹介文分析大会が開催され、気づくと1時間以上時間が経っており、取材よりもピンサロのホームページの紹介文を眺めている時間の方が長くなっていた。
「あれ、もうこんな時間だ。すいません、最後にもう一人だけ指名しようと思ってた子思い出したので、また吉祥寺のピンサロのホームページ開いてもらってよいですか?」
最後にもう1人分のピンサロ嬢の紹介文を読んでコメントをし、ピンサロ嬢の紹介文分析大会は幕を閉じた。ライターのお兄さんの反応からするに、おおむね納得してもらえているようだった。
「遅くまで申し訳ございません、ありがとうございました」
挨拶を終えて、2人で会議室を出てビルの出口に向かって歩く。
「そういえば、逆ナンパ喫茶って知ってます?最近、僕行くんですけど、素人童貞さんもMなので会うと思いますよ。浅草と池袋にあるんですけど、僕は池袋の方がお勧めですね。それじゃあ、本日はありがとうございました!」
逆ナンパ喫茶のお勧めをしてもらいながら出口に向かって歩き、出口に到着したところで、私だけ外に出てお別れをした。それから半年以上が経過しているが、ライターのお兄さんからは、何の連絡もない。
正しいケツの拭き方と出逢った話
ケツ毛が生えてる皆さん、こんばんは。ケツ毛の生えていない皆さんも、こんばんは。ケツ毛の有無によって人間は差別されるべきではないと考えております、26歳素人童貞です。
どうして耳に毛が生えているのだろう、どうして鼻に毛が生えているのだろう、幼い頃にそうした疑問が思い浮かんだ時、親や友人などの口から必ず出てくる言葉が「毛が生えているには理由があるのだ」というものだ。幼い頃にはそれなりに納得したものだが、大量にケツ毛が生えてしまった今、「毛が生えているには理由があるのだ」なんて言葉を聞いたところで、その言葉を真に受けることができなくなってしまった。
だって、お尻はいつも布の下にあるわけだし、ちゃんと肉もついてるから、ケツ毛が特別に肛門を守ってくれているわけではなさそうだし、なにより、大量にケツ毛があるせいで、うんぴっぴをした後にトイレットペーパーでお尻を拭く時間が余計にかかるようになってしまったからには、どちらかと言えばケツ毛は人間に資するものではないのではないかという考えが自分の中で大きくなってきた。
「会社はいつでも辞められるから、ブラック企業の問題は働いている側の問題でしょ?」
「やる気さえあれば、成功できるよ。成功できていないのは、君のやる気がないからだ」
こういった言葉は、地位やメンタルが強い人間の側の論理であるのではないかと思うのだが、それと同様に「毛が生えているには理由があるのだ」というのも、もしかして毛側の論理なんじゃないかと疑わしくなってきた。何の理由もなしにたまたま生えてしまった毛たちが、自分が生えたことに確かな理由があると思いたいから「毛が生えているには理由があるのだ」なんて言い始めるし、毛が自分に都合の良い仲間を増やすために「毛が生えているには理由があるのだ」と、他人を説得しようとしているのではないかと思う。もしも貴方が「なんでケツ毛は生えているんだろう?」と口にした時に、「毛が生えているには理由があるのだ」なんて言ってくる人が周りにいたら、そいつは人間の形をしたケツ毛の可能性がある。そういうことを言ってくるケツ毛野郎は、拭き漏れたうんぴっぴが毛に絡まって異臭を放っていると思うので、間違って近くで臭いを嗅がないように気をつけよう。
そんなわけで、26歳になってケツ毛が成熟期を迎えてしまい、自分はうんぴっぴを拭くのに膨大な時間を取られているのではないかという不安が人生の重荷になっているのが現状だ。そこで、2019年はケツ毛の永久脱毛の年にしようと決意した。既にケツ毛の永久脱毛を達成した友人に、湘〇美容クリニックの紹介をしてもらう手筈も整えた。
そうした準備をする中で、どうせ高い金と長い時間をかけて永久脱毛をするなら「本当に私はケツ毛のせいでうんぴっぴを拭く労力がかかっていたのか?」という謎について真剣に検証をしたいと思った。そこで、まずは1月の間はケツ毛の脱毛はせず現状のモサモサの状態のままで、うんぴっぴをトイレットペーパーで拭く時間を毎日記録し、その後2月頃からケツ毛のレーザー脱毛を開始して、そのままうんぴっぴを拭く時間を毎日計測をし続ける計画を立てた。これを続ければ、脱毛をしたら本当にうんぴっぴを拭く労力が軽減されるのかがわかるに違いない。というわけで、年末からうんぴっぴを拭く時間をGoogleスプレッドシートに記録し始めたのである。
この世の多くの検証がそうであるように、実際に検証を始めてみると、思いもしなかった壁にぶつかった。
「私たちは何をもって〝うんぴっぴを拭き終わった〟ことにしているのだろうか?」
ケツを拭いていく中で、そうした疑問が生まれた。
ケツ毛を脱毛した後でうんぴっぴを拭く時間が変化したかを調べるためには、もちろん、日々のケツの拭き方を一定にしなければならないのだ。日々ケツを拭く中で「今日はこのぐらいでいいかな」「今日は頑張って拭こう」なんて気分で拭き具合を変えていては、検証にならなくなってしまう。脱毛をすること以外の条件はなるべく変化させないことが、誠実な科学的な態度というものだ。そういったことを考える中で浮上してきた問題が、「私たちは何をもって〝うんぴっぴを拭き終わった〟ことにしているのだろうか?」という問題であった。
もちろん、多くの方がすぐに思いつくように「完璧に拭き終わった時がうんぴっぴを拭き終わった時だ」と、まず第一に考えた。そこで、すぐに次の疑問が生まれた。
「いままで私は本当に完璧にうんぴっぴを拭いてきただろうか?」
もしこれを宮沢賢治風に言うならば、
「いまゝで私はほんたうに完璧にうんぴっぴを拭いてきただろうか?」
となる。
そこで私は、まずは自分の今までのうんぴっぴの拭き方を見直してみる必要があると感じた。その考えに至ったのは、ケツを拭く時間を計測して実に5回目の排便の時であった。これまで何となく前から後ろに手を動かして拭いていたが、後ろから前に手を動かして拭いてみることにした。すると、取れる取れる、うんぴっぴが、面白いように取れるのだ。すぐに「私の肛門、上向き仮説」を心の中で提唱することにした。何となく「ケツは前から後ろに拭く」と昔に習った覚えがあったが、よくよく考えてみれば肛門は人によって向きが違うはずであり、そこを考慮することが大切なのは簡単に想像できた。肛門のダイバーシティだ。私はリベラルな価値観を根底に持っているため、肛門のダイバーシティを前提とした「私の肛門、上向き仮説」を素直に受け入れることができた。
そして、さらに完璧に拭き取るために、ケツの穴をガッと開いて拭きまくるという、いかにも正しそうな拭き方を初めてみた。すると、うんぴっぴが面白いように取れる取れる。あまりに取れすぎて、文字通りケツを拭く手が止まらなくなってしまった。そして、いつの間にか血も止まらなくなってしまっていた。そう、肛門が切れたのだ
毎日うんぴっぴを拭く時は携帯のタイマーで時間を計測してGoggleスプレッドシートにまとめていたため、エビデンスが残っているのだが、ケツの拭き方を変えてみた1月9日に私は会社のトイレで7分間もケツを拭いていたのだ。トイレの狭い個室の中での7分間というのは、このトイレの中は無限の時間が流れているのではないかと思うほどに長かった。そんな長い間ケツを拭き続けることで、私のケツは見事に切れ、その日の内に切れたところが腫れあがり、お手本のような切れ痔になってしまった。
どれだけ私が傷ついていたか、それは数字にもしっかりと現れている。ケツの拭き方を変えてみた1月9日より前は、トイレットペーパーを手に取ってからケツを1スクロール分拭くのに平均10秒前後しかかかっていなかったが、1月9日以降はしばらく1スクロールするのに平均して20秒弱の時間がかかってしまっていたのだ。今から振り返ってみると、その時の私は「もう怖い、ケツが痛くて拭くのが怖い・・・」という精神状態になっており、ケツ拭きのパフォーマンスが著しく低下してしまっていた。ケツ拭きイップスのような状態だ。
これはどうもおかしいと思った。自分は何か間違った拭き方をしているのではないか。そこで何かの文献にあたってみようとamazonで「お尻 拭き方」と検索をしてみたところ、「痔と大便の後のお尻の拭き方の意外な関連性」というkindle書籍だけが目の前に現れた。
藁にも縋る思いで即購入して読んでみたところ、「右の手で拭いていたのだが、医者に『左の手で拭いてみろ』と言われたので左の手で拭くようにしたところ、重度の痔が治った」という、まるで聖書の気の利いた小話かのようなエピソードが半ページ書かれただけの怪奇文書であった。半ページという驚きの分量で108円である。世の中にはこんな怪奇文書が平然と売られているということを知れた体験はかなり衝撃的で、個人的には300円くらいの価値が得られたと感じた。この著者は他にも「女性のための恋愛運封殺を解除して初歩的霊視初体験のための366日誕生日別呪文集」や「二川桂輔の霊的ウィルス対策の第一人者になれるかもしれない呪文」というような、タイトルから想像するにおそらく怪奇文書であろう書籍をいくつか出版しているので、先に著者について念入りに調べるべきだったと後悔している。中でも「五岳真形図色紙作成方法と犬にカタカナロシア語を教えながら考えた破滅的なこと」というタイトルの書籍がかなり文学的で良さそうなのだが、これが24ページで2057円もするので、さすがに買う気にならない。誰か読んだ人がいたら感想を教えてくれ。
五岳真形図色紙作成方法と犬にカタカナロシア語を教えながら考えた破滅的なこと
- 作者: 二川桂輔
- 出版社/メーカー: ブイツーソリューション
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: Kindle版
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ということで、改めてグーグルで「お尻 拭き方」と検索したところ、鵜川医院の医師、鵜川邦夫さんが書いているブログに出会った。
『うんちをしたあとはお尻の粘膜が脱出するのでそれをもとに戻さないまま拭くのは間違ってる。』
『したがって排便後、まずはきちんとお尻の筋肉をしめましょう。』
『ウォッシュレットを使って「いてっ」と感じたら、まだ粘膜が収まっていません。』
『戻さないまましつこく拭いて「きれいにならない、きれいにならない」と言っている方がいます。粘膜が刺激されてひどい事になっていますからすぐにわかります。あんまりお尻をいじめないでください。』
まさに至極の名言の乱れ打ちといったようなブログ記事で、私がトイレの個室で7分以上も「すごいうんぴっぴが取れる!すごい取れるぞー!」と思いながらケツを拭いていたのが完全に間違っていたことに気づかされた。採取できる目の前のうんぴっぴの量にばかり気を取られ、自分が傷ついて痔になってしまっていることに気づいていなかったのだ。まるで目の前のPV数に振り回されて自分が傷ついていることに気づかない、病んでるWEBライターのようなケツの拭き方をしてしまっていた。
このブログ記事を読んだ後は、鵜川邦夫氏の言うように排便後しっかりケツの筋肉を締めてからうんぴっぴを拭くようにしてみたところ、改めてケツを拭く時間が短縮され、痛みもなくケツを拭くことができるようになった。ケツの拭き方2.0の世界に足を踏み入れた気分だ。ケツの拭き方をアップデートせよっ!
少し遠回りをしてしまったが、これからはこの肛門に無理のない仕方でケツを拭き、その時間を記録していこうと思っている。1か月間はケツ毛のある状態で時間を記録していきたいので、ケツ毛の脱毛は少し遅れて2月の中旬あたりになりそうだ。
2018年の締めは昼休みピンサロダッシュ
こんばんは。26歳素人童貞です。12月31日も圧倒的孤独です。
笑顔が止まらない 踊るココロ止まらない
動き出すよ 君の元へ 走れ! 走れ! 走れ!
仕方がないので、フリー6000円で入って、すぐに案内をしてもらうと、ショートヘアで落ち着いた性格の、ちょうどいい感じにバイト感覚でピンサロをやっているような女性がやって来ました。ただのバイト感覚ではなく、いい感じにバイト感覚というのは、やる気はそんなに無さそうだけど、心のバリアは無さそうな、人間味の溢れている感じです。
「今日は仕事?」
「うん、仕事だよ」
「あ~、年末だから午前中で終わりとか?」
「いや、仕事納めまだだから、普通に終日仕事だよ」
「営業の外回りのついでとか?」
「いや、デスクワーク。ただの昼休み」
「フンッ」
私は、こういったピンサロ嬢の反応が心底好きでたまらないです。仕事がない人、仕事が休みの人、学生、営業で外回り中の人、いろんな人が昼の時間帯にピンサロに来るようですが、1時間しかない昼休みに来るデスクワークのサラリーマンは本当に稀なようで、心の底から鼻で笑ってくれます。かけがえのない表情です。
少し会話をした後、Yシャツと、スーツのズボンと、靴下と、それから中に着込んだヒートテックを上下共に脱いで、裸になります。ピンサロ嬢の方は、いい感じにバイト感覚でやってる子なので、当然のように何も服を脱ぎません。おしぼりでちんちんを拭かれて、手コキをされながら、ひたすら下着の上からピンサロ嬢のお尻を触ります。
「いいお尻してるね」
「そう?」
「なんか運動してたでしょ」
「うん」
「これは運動してる人のお尻だからね」
「そんなのわかるの!?」
「わかるよ」
「何が違うの?」
「運動してる人はね、お尻を揉んだ時に、内側から戻ってくるものがあるよ」
「え~、今まで何人のお尻を揉んできたの~!」
「デュフフ。アッ」
お尻を揉みながら喋っていたら、あっさり発射させられてしまいました。
「名刺書いてくるから待っててね」
ピンサロ嬢は着衣のままプレイをしていたので、ちんちんをおしぼりで拭いた後すぐに名刺を書きに待機室へ向かってしまいました。その間に私はヒートテック上下2枚ずつと、Yシャツとズボン、それから靴下を再び身につけ、ネクタイを締めます。しかし、右足の靴下が見つからなくなってしまいました。ピンサロの店内は暗く、靴下も黒かったので、ソファの上を手で弄るように探したのですが見つからず、焦っているとピンサロ嬢が戻ってきました。
「どうしたの?」
「靴下が見つからないんだ」
「えー」
ピンサロ嬢もソファの上を手で弄りながら探してくれます。
「見つからないでしょ」
「うん、ここにないってことは、たぶん貴方が身に着けてるんだよ」
「そうだね、ヒートテックを着なおした時に、靴下がどこかに巻き込まれてるのかもね」
「そうだよ、大丈夫。貴方は靴下を身に着けてるから、大丈夫だよ」
そう言われながら手を引かれ、出口まで送ってもらいます。
「お仕事、頑張ってきてね」
まるでドラマに出てくる嫁のようなセリフと共に、襟元とネクタイの位置を直してもらい、そのままお店を出て職場へと歩を進めました。職場へ帰る途中、ピンサロ嬢から貰った名刺を手に取りました。
「今年はどんな年だったー? また来年おいでよ」
そんな言葉が書かれていました。
今思えば、年末に「今年はどんな年だったー?」と聞いてくれるような人が近くにいない人生だったので、少し感動しました。せっかくピンサロ嬢がそんなことを聞いてくれたので、今年を振り返ろうと思います。風俗に行った話はブログ記事にしてあって振り返るまでもないので、それ以外のことで。
タモリ倶楽部がオンエアされた
今年の1月に「痴の巨人 デリヘル・ビッグデータをついに解析!?」がオンエアされた。デリヘル嬢の紹介文を分析して、ランカー嬢とそうでない嬢の紹介文の違いをブログにまとめたら、初期アイコンの怪しいTwitterアカウントから「タモリ倶楽部の番組スタッフです」 って連絡が来たので話に乗っかってみたら、本物でビックリした。タモリさんに実際に会えるという話であるなら、そりゃ迷うことなく行くでしょという気持ちになった。
この前『水曜日のダウンタウン』という番組で、日本人に最も知られている日本人は誰かという調査をしていたけれど、1位がタモリさんだった。
世界大戦後の人口爆発の後の世界で、最も日本人に知られている日本人であるということは、日本史の中で考えてもタモリさんほど同時代の日本人に知られて生きてきた人はいないというわけだ。そもそも昔は日本人自体が少ないわけだし。そういった意味で、動く歴史と出会って会話をすることができたという気がして感動だったし、とにかく畏れ多かった。番組がオンエアされても、会社の人や家族にバレなくて良かった。
電動自転車買った
YAMAHAの電動自転車を購入した。今年で一番よい買い物だったかもしれない。
YAMAHA(ヤマハ) 2018年モデル PAS BraceXL
例えば池袋の場合、徒歩だったら風俗店の受付所やラブホテルまでに15~20分かかっていたところ、5分くらいで到着できるようになった。電動じゃない自転車だと自転車を漕ぐにも労力を使わなければならない面倒くささがあるけど、電動自転車はほぼ労力いらずに勝手に走ってくれるので本当に尊い。何より漕ぎ始めがスムーズなのがよい。普通の自転車だと、信号で止まる度に労力のいる漕ぎ始めが発生するが、電動自転車は漕ぎ始めも労力いらずなのがよい。ポケモンの自転車と同じ感覚。だって、ポケモンの自転車は漕ぎ始めもスムーズでしょう。電動自転車を買うと、ハナダシティで自転車を貰った後の世界くらいに人生の快適さが変わった。
風俗経営者の知り合い&新宿で飲む機会が増えた
Twitterから知り合ったり、知り合いを紹介してもらったりして、風俗経営者の知り合いが増えた。私みたいなアイデンティティのふわふわした謎の立場の人間とも仲良くしてくれる風俗経営者の人って、性格がねじくれてる変な人が多くて面白い。あと、基本的に皆さん年上で私より遥かにお金を持っているので、いつもご飯を奢ってくれる。ご飯を奢ってくれない風俗経営者を見たことがない。私は風俗に行くのに必死でお金がないので、飲み代を奢ってくれるのは本当にありがたい。感謝してもしきれないので、いつも感謝しないようにしている。
飲む場所は、新宿が多くなった。今まで新宿で飲む機会なんてゼロだったけど、急速に新宿で飲む機会が増えた。
ブログのアクセス元を見ると、実は新宿からのアクセスがダントツで多かったりするので、新宿で飲むというのは思想的に考えると正しいのかもしれない。それにしても私のブログだから新宿からのアクセスが多いのか、それとも一般的にブログというものは新宿からのアクセスが多いのか。他のブログの事情を知らないので、ブログに詳しい人、教えてください。
あと、風俗経営をしているような人は夜型の生活を送っている人が多いので、深夜から始まって朝まで飲むことが多くなった。そのせいで生活が乱れて、口内炎が発生する機会がめちゃくちゃに増えた。
結婚する人が現れた
「素人童貞が私のブログをリツイートしたことによって今の旦那が私の存在を知った」と言い出す元風俗嬢が現れた。ネット上の出会いのきっかけになれた。そのおかげで一度ご飯を奢ってもらいましたが、結婚は一大イベントなので、一度ならず、二度も三度も奢っていただきたい。
「25歳素人童貞のツイートきっかけで知り合った人と結婚した」という元風俗嬢が現れたので、奢ってもらっています pic.twitter.com/IN5OxsJRcJ
— 26歳素人童貞𝒶.𝓀.𝒶.素童 (@sirotodotei) 2018年8月23日
ご結婚おめでとうございます。
本を出版した
ヒッピーみたいな身なりの、何を考えているのかよくわからず、仕事ができるのかできないのかもよくわからない、本当にアイデンティティの不安定な編集者の方がTwitterのDMで連絡をくれ、本の出版をしてくれた。自分のブログが本になるとは全く思っていなかったので、こういった機会をくれ、とてもありがたかった。担当編集者さんとは何度か飲んだけど、結局、何を考えているのかよくわからず、見ているだけで面白い人だった。急にこの意味不明な販促動画を作ってくれたのだけど、この動画の掴み所のない奇妙な感じが、担当編集者さんの全てを表してる気がする。
男の人の、少し小難しくて可笑しく表現する文章が好きで、はじめてブログを読んだ時から気になっていた人の本。
— 『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』新刊11/10発売 (@pinksalondash) October 28, 2018
バカだなぁー、でもいい表現だなぁー、風俗って極めると哲学しちゃうんだなあって担当は感想を持ちながらケラケラしながら校了しました。
早く発売してみんなに読んでほしい!#昼ピン pic.twitter.com/bjNC7W2DYC
本に関しては、Amazonのレビューよりも、読書メーターの書評よりも、風俗嬢の方々に写メ日記で取り上げてもらった機会が圧倒的に多く、出版前には想像もしていないことだったので嬉しかった。出版前は担当編集者さんと「これ発売したら昼休みにピンクサロンに行く人が増えるんじゃないですかね!?」なんて話をしていたけど、そんな報告は今のところ一つもない。
それと、本を出したら、今まで風俗の話をしていない人が風俗の話をしてくれるようになったり、今までただ風俗店や風俗嬢についての話しかしていなかった知り合いが、なぜ自分は風俗に興味があるか等のエモい話をしてくれるようになったりした気がする。
ロフトプラスワンでイベントやった
無名な人間の出版記念イベントでロフトプラスワンほど人が収容できる箱を選ばなくてよかったのでは? という疑念が直前まで止まらなかったけど、当日は142人のお客さんが来てくれて良かった。普通のイベントだったら142人も来てくれるなら、「このイベント行きます!」「イベント行ってきました!」という報告がTwitterでたくさん流れるものなのに、風俗イベントだからかそういったツイートがあまり見られなかった。人はたくさん来たものの、一体どういう人が来たのかよくわからないまま終わっていった不思議なイベントだった。
イベント内容としては、登壇者の方々が司会やトークを頑張ってくれ、ちゃんとイベントっぽくなってたので良かった。私は途中までトークを頑張ってた気がするけど、途中から登壇者の人たちが喋ってるのを見てるのが普通に面白くて、普通に笑って観戦してしまった。トークイベントに登壇するって割と難しいことなのだなと思った。
好きな漫画家や作家の人に会えた
イベントで二村ヒトシさんを呼んでお話ができたり、その他にも本を出版した後に知り合いの方に漫画家さんや作家さんを紹介してもらえたのですが、悉く自分が大学生の頃に影響を受けていた人たちに実際に会うことができ、皆さん私の本を読んでくれて感想まで言ってくれたので、万々歳でした。本の売れ行きはそんなに良くないみたいなので、担当編集者さんや出版社には申し訳ない気もしますが、個人的には憧れていた人と話のできる機会が生まれたので本当に良かったです。
ということで、今年は風俗以外で人と関わる機会が多い一年でした。私はあまり社交的な人間ではなく、気難しい部分もあって他人とうまくいかないことも多々あるので、上手に関わってくれている方々に感謝です。来年も適度に仕事をしつつ、風俗を楽しめればと思います。来年もどうぞよろしくお願いします。
ちなみに、ピンクサロンで見つからなくなってしまった右足の靴下ですが、仕事が終わって家で小便をする時に、ヒートテックのズボンの中からポロっと出てきました。
新大久保イラマチオ
10月初旬のとある金曜日、池袋西口の『ジョナサン』で、夜中の0時頃から友達と風俗について話をしていた。池袋東口のデリヘルを利用してデリヘル嬢にラーメンの話をすると『麺処花田』を勧められるんだ、という話を友達にしてみたら、その友達も、池袋東口のデリヘルでデリヘル嬢に『麺処花田』を勧められたことがあると言っていた。
それから、新大久保の話もした。十中八九、ただの偶然であることもわかっているのだが、新大久保でホテヘルやデリヘルを利用すると、プレイ終わりに女性の方が新大久保駅まで送ってくれることが多い。風俗嬢は身バレを恐れる職業であるし、お客さん側だってプレイ後に一緒に街を歩きたいかは定かではない。だから普通であれば、帰り際に「ホテル一緒に出ますか?」と女性から聞かれることもあるし、一緒にホテルを出たところで、ホテルを出てすぐのところで「ありがとう!またね!」ってお別れするものだ。それなのに、新大久保で出会った風俗嬢はなぜか「んじゃ駅まで送ってくよー!」と、自然に新大久保駅まで送ってくれる人が多かった。
今年の夏なんて、新大久保駅まで送ってもらったところで、デリヘル嬢に駅前でお別れのキスを求められたこともあるくらいだ。私は子供の頃から、駅前でキスをするような大人は心底汚らわしい存在だと思っていたし、その気持ちは全く変わらないまま大人になった。この前だって、五反田の風俗に行く途中、五反田駅の改札前のところでキスをしてる熟年の男と女を見かけたが、嫌な気持ちになった。その嫌な気持ちの中には、私のような人間が駅前でキスをしたところで、全く絵にならないという事実も含まれている。そんなわけで私は、絶対に駅前でキスをするような大人にならないようにしようと思っていたし、なるはずがないと信じていた。そんな私が、デリヘル嬢に新大久保駅前まで送ってもらった上に、駅前でキスを求められてしまったのだ。ありうる限りの自分の行動の可能性を考えてみたところで、どうしたってキスに応えるしかなかった。だって、目の前にいるのはデリヘル嬢で、私は風俗客なのだから。日が変わりそうなくらいに夜も更けた時刻、私は新大久保駅前でデリヘル嬢とお別れのキスをした。
「キッスしてるぅぅーっ!!!」
近くに立っていた、大柄で、メガネをした、おそらく韓国人であろう男の人に、人差し指を向けられながら大声を出された。なんて、新大久保的なのだろう。
そんな思い出話を友人とひたすら話していると、風俗話が尽きるよりも早く眠気が襲ってきたので解散することを決め、車で家まで送ってもらった。今度は、前々から気になっていた新大久保のホテヘル嬢を指名しに行こうと思うんだ。助手席からそんなことを友人に投げかけていると、家に到着した。眠気は既に限界を迎えており、鍵をかけたかどうかも定かでない中、ベッドに飛び込んで眠りに落ちた。そのまま10時間くらい死んだように眠った。というように自分でも思いこんでいたのだが、小雨の匂いと薄暗い日の光と共に目を覚ますと、時刻はまだ朝の6時であった。たったの3時間で目が覚めたのだ。普段はそんなに短い時間で目が覚めることなんてことはないにも関わらず、である。仮に、平日にいつも起床している8時00分という時刻に起きたのならば、そのあまりにも早い目覚めを己の習慣の責任に帰することも容易だったのだが、そのようにもいかなかった。こんな日には、自分はなにか特別な1日を過ごせる権利を得られたような気分になれる。すかさず、枕元に置いてあったiPadを手に取り、ほんの3時間前に友人と話をしていた新大久保のホテヘル嬢のプロフィールのリンクに飛び、出勤時間のところに目を落とすと「9:00~ 」と記載されていた。実に、3時間後であった。
さっそく、そのホテヘルに電話をかける。ランカーの人気嬢であったので、当日の、しかも出勤の3時間前に予約の電話をかけて枠が取れるのかは甚だ疑問の残るところであったが、口あけ9時からの60分コース1枠のみ予約可能だということだった。やはり、朝早く起きたことには理由があったのだ。
シャワーを浴び、服を着て、歯を磨いてから8時半に池袋の家を出る。明治通りを下るように自転車を走らせ、新大久保駅の近くにある受付所を目指す。向かう先のホテヘルの受付所は、ボロっちいマンションの1室にある。新大久保のホテヘルの受付所というものは、風俗店によくありがちなビルの中ではなく、アパートやマンションの1室など、生活感のある建物の中に位置しているところが数多ある。実際に、他の部屋に一般の人が住んでいるマンションの一室に、お客さんと風俗嬢が行き来しているホテヘルの受付所なんてのもあるくらいだ。この前も、新大久保の別のホテヘルを利用し、プレイ後のアンケートを書きに女性と一緒にマンションの一室にある受付所に戻ったところ、マンションから出てきた一般住民のお婆さんに「こんばんは」と、 ホテヘル嬢が挨拶をしていた。私もつられて「こんばんは」と挨拶をした。お婆さんも「こんばんは」と挨拶を返した。なんて、新大久保的なのだろう。日常と非日常、聖と俗が地続きに共存しているのが、新大久保という街なのである。
明治通りをひたすら下って、大久保通りの直前の松屋が見えたところで、右に曲がる。すると、すぐ左に小道が現れる。その小道に入って前方に目をやると、ペプシの装飾がなされた自販機の隣に、ゲートとしか言えないただのゲートが現れる。
ただただ一直線に続く何の変哲もない道の中ほどに、ただのゲート。一体、なんのゲートなのだろう。それにしても、位置が絶妙だ。なんの意味があるのだろう。おそらく、なんの意味もないのだろう。何かしらの目的があるわけではなさそうだし、ゲートをくぐっても、その先の景色は何も変わらない。それでもやっぱり、ゲートを潜ると、潜る前とは違って、その何の変哲のない一本道が特別な色を帯びる気がしてくる。なんて、新大久保的なのだろう。いつも新大久保へ向かうときはこのゲートをくぐって、向こう側に小さく見える大久保通りに出る。そうして自転車をそこら辺に留めて、目的の受付所へと歩いて向かう。
この日も相変わらずボロっちぃマンションの受付所に到着する。タバコとおっさんの臭いが充満した受付所で、料金の受け渡しと、プレイの流れの説明を受け、近くにあるホテルへと向かう。新大久保駅付近には、以前から「ホテル大山」と「ホテル小山」があって、最近「ホテル中山」ができた。私は優柔不断な人間なので、いつも「ホテル中山」を使うのだけれど、最も新しいから「ホテル中山」が一番綺麗であるし、「ホテル中山」なら、クレジットカード決算だってできる。中途半端が、一番美しく歓待される。なんて、新大久保的なのだろう。
受付所から「ホテル中山」へと向かおうとした矢先、受付所から出てすぐ1分程のところで、黒髪のロングヘアの女性とすれ違った。私は自分で指名した女性のことを写メ日記でしか知らないが、向こう側から来るその人が、おそらく私の指名した女性であるに違いなかった。しかし、もしかしたら私の勘違いである可能性がある。いや、そもそも、ホテルの部屋以外の場所でホテヘル嬢に話しかけることもないわけだし、向こうから来る女性が私の指名した女性であるかどうかなんて、さほど真剣に考える必要もなかった。私が確実に言えること、それは、その女性がセブンイレブンのお弁当が入った薄茶色い袋を持っているということ、それだけだった。その女性とは無言ですれ違い、私は「ホテル中山」へと足を運んだ。
韓国人の若い女性がホテルの受付をしていた。料金を支払ってカードキーを受取り、ホテルの部屋へと入る。すぐさまベッドに腰かけ、iPadを開き、これから来る指名した女性の写メ日記を開く。
「出勤しました! 朝ごはん(*´∀`*)♪」
3分前に写メ日記は更新されていて、朝ごはんを食べているようだった。やはり、私が指名した女性は、先ほどのセブンイレブンのお弁当の袋を持っていた女性だったのだろうか。
もし仕事の後などに遊びにきていたのなら、女性が来る前に歯を磨いて、それから先にちんこだけは洗って時間を潰すものだが、この日は休日で朝に歯磨きとシャワーを浴びてからすぐ来たので、ちんこの不安に苛まれることもなく、しばらくTwitterのブックマークに登録していたメディア記事を読みながら時間を潰すことにした。9時からの予約だったのに、9時20分になっても、女性が来ない。たぶん、朝ごはんを食っているからだろう。そんなことを考えていると、ドアの向こう側から、コツッ、コツッ、コツッ、と、こちらに向かう足音が聞こえ、私のいる部屋の前でその音が止んだ。
ピッ、ピピピピピピッ、ピッ
タイマーをセットしたであろう電子音が、ドアの目の前で鳴り響く。その後、すぐにドアのノックが鳴るかと思いきや、1分ほど静寂な時間が訪れた。もしかしたら、ドアの目の前で足音が止まったと思ったのは私の勘違いで、隣の部屋に向かうデリヘル嬢の足音だったのかもしれない。何気なくもう一度、指名した女性の写メ日記を開く。
「今日も1日、頑張ります!ヽ(*´∀`*)ゞ」
私が写メ日記を確認したまさに9時23分という時刻に、そのように写メ日記が更新されていた。もしかして、今そのドアの向こう側で更新したのだろうか。
コンッ、コンッ、コンッ
ドアのノックが鳴った。そのノックの音は、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)という無限に拡がる時空間に発信された彼女の「今日も1日、頑張ります!ヽ(*´∀`*)ゞ」という宣言を、ドア1枚隔てたところにいる私が数秒で受信したのだという証拠の音でもあった。彼女の写メ日記が開かれたブラウザを閉じ、iPadを机の上に置いて、ドアを開く。そこには、先程すれ違った黒髪ロングヘアの女性が立っていた。
「はじめまして。あっ」
「はじめまして。どうしました?」
「もしかして、さっき、すれ違いました?」
「すれ違ったと思うよ。セブンイレブンの袋持っていませんでした?」
「やっぱり! あれは朝ごはんですっ!」
「何食べたのですか?」
「明太もちチーズグラタン食べたの」
「明太もちチーズグラタン、好きなんだ?」
「うん。本当はね、キーマカレードリアにしようかと思ったんだけど、待機所で食べるとカレーの匂いが他の女の子の迷惑になるかなと思って。だから、 明太もちチーズグラタンにしたの」
会話を交わしながら部屋に入り、私たちは横並びになるようにベッドに腰をかけた。
ピッ
「タイマー、ここに置いておきますね」
先ほどドアの向こう側でセットしたばかりであろうタイマーのスタートボタンを押すと、彼女はそのタイマーをベッドの横の机に置いた。タイマーを確認すると「44分58秒」。プレイが終わってからシャワーをしてホテルを出るまでに15分を確保するタイプの女性だ。私がタイマーに目を落としているうちに、彼女がこちらに寄りかかるようにハグをしてきたので、こちらも少し遅れてハグを返す。
「い、いい匂いがしまふぅー!」
「え!? いい匂いなんてしないよっ!」
「いい匂いがしまふぅー !」
「え? なになに? なんの匂い? シャンプーかな?」
「いい匂いがしまふぅー !」
シャンプーの甘い香りだろうか、それとも、ボディークリームの匂いだろうか。彼女からは、いい匂いがした。 それから同時に、タンスに長らく仕舞われていたような衣類の匂いもした。人工的なおしゃれな甘い匂いと、生活感の漂うタンスの香りのハーモニー。なんて、新大久保的なのだろう。もちろん、新大久保の風俗嬢がみんなそんな香りを放っているわけではないし、こんな香りのする風俗嬢とたまたま新大久保で出逢ったからといって、それを〝新大久保的 〟 だなんて形容するのは短絡的で、概念に対してあまりにも暴力的すぎる態度ではないかと思う。でも、土地ほどに私たちが偶然的に出逢うものもないんじゃないかと思い直して、やっぱり新大久保的であると思ったし、その匂いを嗅いで私は心の底から新大久保に惚れてしまった。
「シャワー入りますっ?」
彼女がそう口火を切ったので、お互い服を脱ぎ、手を引かれるようにして浴室に向かう。簡単にボディソープで身体を洗ってもらい、イソジンでうがいをして、先に浴室を出る。
「私も身体洗ったら、すぐ出るからね!」
「すぐ」とはどのくらいの時間のことを言うのだろう。「すぐ」という言葉に、今までどれだけ惑わされてきたことか。この前も、仕事相手が「すぐ連絡します!」と言ったので1~2時間で返事が来ると思っていたら、連絡が返ってきたのは3日後で、大変な目に遭った。なんて曖昧な言葉なのだろう。彼女の言った「すぐ」はいつのことなのか。そんなことはすぐにどうでもよくなって、今日の夕飯は明太もちチーズグラタンとキーマカレードリアのどちらにしようか迷いながらバスタオルで身体を拭いていると、彼女が浴室から出てきた。
「体、拭くよっ!」
新しいバスタオルを手に取り、水の滴った彼女の体を拭く。
「えっ、ありがとう。こんなの初めてだよっ」
彼女がそう呟いた。「こんなの初めてだよっ」は厳密に考えれば肯定の意味合いはなく、ただ事実を述べているだけである。それでもやはり「こんなの初めてだよっ」と言ってもらえて素直に嬉しいと思える人間でありたいと思ったのだが、もう今となっては「こんなの初めてだよっ」と言ってもらえても『騙された素人専門店 こんなの初めて・・・~イキまくる女たち~』という池袋のホテヘルの店名が連想的に浮かぶだけの人間になってしまっている自分に気づくだけであった。『騙された素人専門店 こんなの初めて・・・~イキまくる女たち~』で遊んだ客は運が良いと、店員の人にご飯を奢って貰えるらしい。俺も行きたい。
彼女の身体を拭き終えたところで一緒にベッドに寝ころぶ。仰向けにごろんっと寝ころぶと、彼女も仰向けにごろんっと寝ころんで、そのまま3秒ほど横並びで天を見上げた。これはどちらかと言えば性癖がMな人間が2人ベッドの上に集まった時にたまに起こる現象で、2人して仰向けで天を見上げているだけの謎の時間が数秒生じることがあるのだ。
おそらく、Mという性癖よりも職業倫理が勝ったのだろう、3秒天を仰いだところで彼女は仰向けで寝ているのをやめ、私の身体の上に乗り出しておもむろに乳首を吸いだした。舌を見せつけるかのように器用に舐め上げる、のではなく、まるで赤ん坊が生存のために母親の乳首に吸いつくように、私の目を見ながら真っすぐに乳首を吸い始めた。メイクをしたことがない人間でもわかるくらいに灰色のアイシャドウの塗り方の雑さの目立つ瞼に、黒々とした瞳と絵の具のような色の白目のコントラストの綺麗な目で見つめられ、その彼女の表情を見れて良かったなと思っていたところ、なんの脈絡もなしに彼女が私の男性器を口に含み始め、最初こそ舌を出してペロペロと舐めていたものの、徐々に喉奥へと自ら男性器を突っ込み始めた。いわゆる、ディープスロートというやつだ。私の男性器を喉奥まで咥えたところで10秒ほど頭を静止し、突然に顔をあげたかと思うと、舌を出しながら「ヘェッ、ヘェッ」と荒い息遣いをしながら、まるでオーガズムを迎えているかのように身体を震わせて、見つめているのか、睨んでいるのか、あるいは、その両者が混在している視線を私にぶつけてきた。その彼女の反応は、自ら男性器を喉奥に突っ込んだ人間のものとしては、あざとすぎるくらいにあざといものであったが、往々にして、あまりにもあざとすぎる人間というのは実のところ全くあざとくなれていないところが魅力的なのであり、彼女もまた、そのような魅力のある人だった。
しばらく「ヘェッ、ヘェッ」と舌を出しながらこちらを睨んでいた彼女が、ベッドにだらんと無造作に置かれた私の腕に視線を落とす。そのまま私の右腕を小さな手でつかみ、彼女の頭の上に私の手の平が重なるように持ち運んだかと思うと、再び自ら男性器を喉奥まで口に含み始めた。喉奥まで男性器を突っ込む彼女と、彼女の頭の上に乗っている私の手の平。これは、俗に言うところの〝イラマチオ〟なのだろうか。私は一瞬そのようなことを考え始めてしまったが、しかし、よくよく考えてみればイラマチオは男性が女性に強いて初めて成立する行為なのだ。そのように正確に考えるならば、私の目の前で起こっていることは定義上イラマチオではないのではないだろうか。私は彼女に何も強いてはいない。むしろ、彼女が私にイラマチオをするように強いているのであるし、もっと言えば、彼女は私にイラマチオをするように強いるように何かに強いられているような目をしていた。私たちにイラマチオを強いているのは誰なのだろうか。一見、入り組んでいて複雑そうなこの問題を理解するのに、そこまで時間はかからなかった。一見難しそうに見えても、大抵の物事は義務教育の知識の範囲内で理解できるようになっていたりするのが世の常だ。少し日本語から離れて、中学生の頃に英語の授業で習った〝非人称構文〟で考えてみればよいのだ。
It makes us irrumatio.
(ソレが、私たちにイラマチオを強いる)
私たちにイラマチオを強いていたもの、それは、“ソレ〟とし名指せない何者かだ。
「非人称構文では、主語は訳しません。あえて訳すとすれば〝ソレ〟です」
田舎の公立中学校の先生が教えてくれた奇妙な翻訳。日本語にはない表現を無理に訳そうとするときに生じるズレ。そうしたズレた翻訳こそが、私たちの目の前に起こっている現象をかえってクリアに説明してくれることがある。彼女はソレにイラマチオを強いるように強いられているし、私もまた、ソレにイラマチオを強いるように強いられている彼女にイラマチオをすることを強いられているのだ!
It makes us irrumatio !
手先に力を込めて、男性器を喉奥まで咥える彼女の頭をグッッッと下向きに抑え込む。私の手はソレと重なり、私は力を入れて初めて自分の手にソレを引き受けてイラマチオの主人になった。グッッッと抑えこんでから10秒ほど経ったところで、彼女が私の太腿を手の平でタップする。それから更に10秒ほど頭を抑え込んでいると、彼女の身体は震えはじめ、先よりも更に強い力で私の太腿を小さな手で何度も何度も叩きはじめた。頭を押さえつけていた腕の力をフッと緩めると、彼女の頭が上がってくる。
「も. ...ちゃう.....、お餅..出ちゃう...」
彼女は涙をいくつか流していて、時たま舌を出す猫のような舌の出し方をしながら「ヘェッ、ヘェッ」と息遣いをすると共に身体を震わせ、口の周りを唾液まみれにして少し笑っていた。彼女の顔を拾い上げて、口の周りに散らかった唾液に向かってキスをすると、明太子と、それから少しのチーズの味がした。